バレンチノ宣言
有名服飾ブランドが跋扈し流行を世界に発信、それを身にまとったホリの深いイケメン
が闊歩する超おしゃれ国家イタリア。
その数あるイタリアンブランドの中でクオリティー的に「非おしゃれ」の領域にまで浸食し、
ネットショップはおろかスーパーやディスカウント量販店などで我々の生活に影響を及ぼしている希有な存在、
それが「バレンチノ」である。
「バレンチノ」はひとつではない。
日本における「佐藤、鈴木」のような名字と同義で、あまりにも一般的な呼称である故に
我が国で商標登録がされない「バレンチノ」はバレンチノさん、またバレンチノと名乗りたい者に
よって多種多様に増殖し、流通している。
「バッタもの」などと呼称される偽物ではなく、一バレンチノ一バレンチノがそれぞれに性格、
意図を持ったオリジナルのバレンチノなのだ。
服飾ブランドという枠組みを越え、街にはびこり、もはや民俗となったバレンチノ。
バレンチノは採取されなければならない。
バレンチノは鑑賞されなければならない。
使命感に震えた有志によりここに「バレンチノ会」を発足し、情報収集、現物採集を含めた
フィールド・ワークの手法を用いてバレンチノへの万感の想いを記録してゆくこととする。
バレンチノに光あれ。
バレンチノ会 伊藤 沼太郎