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2016年3月20日 - 2016年3月26日

2016年3月24日 (木)

イワシのうつぼ舟

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年度末のあれやこれやにすっかり疲弊して心身の疲れを癒そうとどこぞの水族館で撮影したイワシの群れの写真を眺めていた。イワシ癒されるよね。うつろな目で一本調子で回遊してて。

するとふと、脳裏に幼い頃に経験したイワシとの遭遇の記憶が蘇った。

 

小学生の低学年くらいの事だったか、盆休みで伊豆に帰省中、父に連れられて三島の防波堤で釣りをしていた。
一心不乱に糸の先を眺めていても微動だにせず、ただじりじりと真夏の日差しが私の肌を焼いていた。そんな私のご機嫌でもとろうと思ったのか、父は近くの磯にカニを捕りにその場をはずし、私は1人ぼーっと座って定まらない視点で海を見ていた。すると沖の方から蜃気楼みたいにゆらゆら揺れながら近づいてくる物体がある。

  

みるみるうちに私の目前まで流れ着いて来たそれは、真っ白い肌の禿げたおっさんと黒い水着の若いお姉さんが向かい合って乗った黄色いゴムボートだった。

 

おっさんはうひうひ笑いながら目の前のキラキラ光る何かを持ち上げようとしていて、お姉さんもなんか脊髄がどうかしたみたいに体をくねくね折り曲げてへらへら笑いながら「やめなよ〜」とおっさんに突っ込みのような合いの手のような声をあげている。

  

向かい合った2人の間でキラキラ光っていたものの正体はなぜか大量のイワシ。2人で大笑いしながら「ぼく、イワシあげるよ〜」と両手につかめるだけのイワシをバケツに入れて、オールを漕いで行ってしまった。フジツボで手を切りながらイソガニを捕まえてきた父に話してもまったく信用してもらえなかったが、ちゃっかりイワシは持ち帰り祖母の家で塩焼きにして親戚一同でおいしく食べた。

今思うとあれは他界から神を乗せて来たうつぼ舟
だったのではないか。うつぼ舟は鉄や鏡でできていてピカピカ輝いていたという説もあるがそれはきっとイワシのうろこだったのに違いない。

このイワシのうつぼ舟との遭遇体験をきちんと記録し、未来の民俗学者に採取される日をインターネットの片隅で待ちわびようではないか。

いや〜取れないですね疲れ。

  

※うつろ舟とも呼ばれ、日本各地に古くから伝えられている民間伝承のひとつで、海の向こうからコンパクトな舟がやって来て、その中には女が乗っていたというもの。それは異国の女性だとか神の乗り物だとかUFOだとかいろいろ解釈がなされている。


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