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2014年6月1日 - 2014年6月7日

2014年6月 2日 (月)

カマクラ

2月に関東甲信越を襲った記録的な豪雪はしばらくの間、街の各所に爪痕を残していた。
懸命な雪かきによって道路脇に高く積まれた雪の山や家の前に作られた雪だるま、凍結する歩道。

そんな自然災害の記憶を尻目に、街は日常の活況を取り戻しており、仕事を終えて深夜にさしかかった駅前の通りを駐輪場に向かって歩くと「いかがっすか」「キャバクラいかがっすか」「おっぱいどうですか」と腹を減らした回遊魚がオキアミに食らいつくかのようにポン引き達が行く手に集合してくる。

私のようなしょぼくれた人見知りのおっさんが「見知らぬ女性と乾きものを食べながら酒を飲み、世相や自分について語り合ってお金を消費しませんか」なんて勧誘されてもそんなもん1ミリたりとも心が動かないのであって、「キャバクラどうですかキャバクラ」と進路を塞ごうとする黒服をいつものようにかわそうとしたのだが、その日はキャバクラと連呼する男のすぐ背後にあるものを見つけてしまったのだ。


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キャバクラ男の背後にカマクラ。

「これだ!」

このカマクラは店から離れた所にいる呼び込みのそばにあったもので、恐らくはキャバクラの従業員によって作られたものではない。
しかしこの、崩落しかけ、短い生涯を終えようとしている老カマクラはその穴から私の脳波にメッセージを伝送し、次の行動を促すのであった。

キャバクラのカマクラを探すべし。


いざ、キャバクラのカマクラ。

駄洒落のために命をかける御家人と化した私は空腹も忘れて歓楽街へと飛び込み、歩き回った。


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路地という路地で、道路脇につまれた雪塊を確認する。

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おにいさんいかがですか、だんなキャバクラいかがですか。なにうろうろしてるんですか。
とハンティングの嵐をくぐりぬけながらさまよう事約30分。

歓楽街で一番神々しく輝くキャバクラ看板の向こうに巨大かつ精巧なスノーアーキテクト。
今、ここにキャバクラとカマクラが文明史の中で接続されたのである。

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ラスコー洞窟で壁画でも発見したような、過剰に何かを成し遂げた気持ちを抱き、富士そばで天玉そばをすすった。次の雪のよるには鎌倉に行こう。



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