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2011年5月1日 - 2011年5月7日

2011年5月 7日 (土)

ゴイサギ VS UMA

※mixiのエントリを改訂、転載

外に出れば陽光は麗か、ウメの花ははや散り始め、サクラの蕾はそれに
取って代わらんとばかりに膨張し、開花を待つばかり。

そんな立春の石神井公園のアイドルは相も変わらず三宝寺池の水辺観察園に住み着いてコバルトブルーとオレンジのコントラストをきらめかせながら食餌の為のダイブを来園者にご披露する「水辺の宝石」ことカワセミである。

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朝も早くからカワセミが出現するポイントの此岸には、三脚に支えられた天体望遠鏡さながらの超巨大望遠レンズを装着したキャメラがずらりと並び、 止まり木から澄ました顔で水面を見つめているカワセミがダイブする様を逃すまいとファインダーを覗き込む日曜キャメラマンの背中を見つめながらとくとくと 歩くと左手には三宝寺池がカワセミ回りのそれとは対照的な静けさを持って姿を表す。

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向こう岸にはカラスとペンギンの合の子のような鳥が誰にも注目されずにボーと朴念仁のように突っ立っている。

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※写真は井の頭公園で撮ったもんです。




ゴイサギである。漢字で書くと五位鷺

サギというくらいだから当然サギの仲間、 平安時代に醍醐天皇が神泉苑に遊んだ時の事
こやつがパタパタと飛び回りうっとおしかったので廷臣が「勅なれば畏まれ」と
叫ぶと天皇の下に舞い降りてパタリと羽根を閉じ、シャンと畏まった。
この行動を喜んだ天皇が従五位の位階を授けた事からこの名が付いたという伝承がある。

とってもノーブルな鷺、それがゴイサギなんである。

基本夜行性で薄暗くなるとクワッと嘶きながら飛び立ち、水辺で昆虫並びに小魚等をついばみ食す。つまり我々が活動し、カワセミのダイブを見ては シャッターをパシャパシャ、カルガモに餌を撒いてはやいのやいのしながら鳥類を愛玩している昼間は何してるかというと遠くむこう岸でボーっと身じろぎもせ ず突っ立って睡眠もしくは休息を取っており、観察する側としてはこれっぽっちも面白みがない。

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少しくすんだブルーとライトグレーのコントラスト、後頭からシュラッと伸びる一筋の冠羽がさすがは従五位たる高貴な装いでプロポーション的にはかっちょいい部類に入るとは思うのだけれど 徹夜明けの受験生のごとく眼を真っ赤に充血させて水面を虚ろに見つめ、いまにも世をはかなんで入水しそうなダークネスな雰囲気はカワセミやカモ達と比べるとやはりキュートさがずば抜けて足らんわけで

「うわーカワセミキレーかわいー」とか「うわーカモが餌ついばみに来てかわいー」とか
はあっても

「やーゴイサギが目ぇー真っ赤でボーッとしてるーかーわいーーーーー」

なんて黄色い声援は起こるべくもなく散策する人々には景観のひとつとして認識され、特に脚光を浴びるでもなく三宝寺池の彼岸に立ち尽くしているんである。

まあそんな感じであるゴイサギであるが小生はそういった夜シフトの世捨て人的なたたづまいも嫌いじゃないどころか世界人類を二つに分けて、どっちに属するか っていえばゴイサギびいきの方に入るわけで、暖かい陽光を浴びながら突っ立っている ゴイサギの姿でもどれ撮影したるかいなとキャメラをかまえて その姿をとらえたその時

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あんだけ微動だにしなかったゴイサギがなにやら体躯をかがめ、水中をもぞもぞとついばんでおられる。

なんや昼間でも食欲あるねー小魚でも発見したんであろうかと目をこらすと
なにかを釣り上げたかのように水中から「それ」を口箸にホールドして持ち上げた。
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ぶわっと



ながっ!
うなぎだろうかアナゴだろうかでもまさかそんなもんが三宝寺池にいる訳も無し
冬眠から覚めたシマヘビかアオダイショウであろうか。しかしそれにしても長いなあ

一体なんであろう。

草花はあふれ、緑が萌える悠久の自然の息吹、生命力に溢れたこの石神井公園も
所詮は東京都。

少しく足を伸ばせば冷たいコンクリートのビルが立ち並び、空を焦がさんばかりに
ネオンが照りつける巨大都市、その中には幾百、幾千の欲望に満ちた謀略が張り巡らされ、脳漿をくだき、生命を失うものも同じ数、その中で我らの耳目に触れるものはわずかばかりという 魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)する地獄の吹きだまり。

それが東京。

よくよく考えればマッドサイエンティストの悪巧みによって三宝寺池に人知れずUMA(未確認生物)が解き放たれていてもなんら不思議ではない。

そして息を殺して水底にひたすら潜み、養分を蓄えグエムル(漢江の怪物)もびっくりの大きさに育って、いつの日か魔都東京をヒトのみにするに違いない。

そんな身も毛もよだつモンスターの幼体が、さあ春の陽光を浴びて一段とその体躯を巨大化させるぜこのヤローと水面近くに浮上した所をゴイサギ様に拿捕され、悪魔の企みが明るみにさらされたのであった.....


なんて妄想をしながら様子を見ていると
ゴイサギの口箸にしっかとくわえられたUMA(未確認生物)は首に絡み付いたりくにゃんくにゃん身体をうねらしたりと必至の抵抗を試みるがゴイサギもなかなかの強者、決してその力をゆるめず しっかと加えたまんまではあるのだが
血走った目はどこかうつろで所在なげ。獲物来れりとばかりに捕らえてはみたものの

「すいません、なんかUMA(未確認生物)捕まえちゃったんですけど どうすればいいですかね」みたいな感じで
獲物をだらしなく加えたままおろおろと右に左に駆け出す案配。


おたおた
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「何ゴミですかUMAって」
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少し奥にはそんなてんぱったゴイサギを見て見ぬ振りのアオサギ。
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近代化によるコミュニケーションの欠如、

そしてそれが生み出す現代社会の病理はここにも現れていて再度認識。
咲きほこる花達、さえずる鳥達、中空に遊ぶ虫達、それでもここは東京、
うねるUMA、とぐろを巻く悪意。

で、どうしましょう。とりあえずこいつ弱らせますねと思ったのかどうだかうねうねするUMA(未確認生物)を がんがん地面に叩き付け、またもぼーぜんと考えたあげく

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飲み込みました。



で、いつものボーとした構えに修正
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かくしてUMA(未確認生物)はその発育の中途において謀らずも市井の一ゴイサギに飲み込まれ、マッドサイエンティストの野望は挫折、東京の平和は保たれ、人々がカワセミ撮影や鯉のえさやりに癒される春の日常は続くのであった。

よくやったゴイサギ、俺は見てたぞ。

という妄想も楽しいので石神井公園散策の際はカワセミやカルガモ、
カイツブリ等のスター級だけではなく
ゴイサギとかにも注目する事をおすすめします。

UMAは多分ヘビかと、しかし災難ですねヘビも、うはーい春だぜってでかけた瞬間ゴイサギにぺろりだもんね。



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2011年5月 6日 (金)

カカシコレクション'10 その3

<ランドマーク部門>
●スカイツリー
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独創的かつエレガント。

このかかしがスカイツリーに似てるのか?といわれれば
私の答えは「わからない」だ。

ちなみにスカイツリーはこれね。結構前に撮ったやつですが。

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確かに現時点では必ずしも似ているとは言えないかもしれない。

だがしかし、スカイツリーはこれをのたのた書いている現在、まだ
「建設中」すなはち「未定」の状態であって、これから先の段階において
白×青のトラスがかったデザインは仮想敵国の衛星写真に写りやすいから
真っ白の、平滑な、ステルスっぽいなんか神がかったイメージにしろと
いったふうに同盟国から忠告があり、更にすんごく高い塔から人民を
洗脳せしめる電波を24時間絶えず発信しつづけるというネガティブな
イメージを緩和、隠蔽する事を主目的とし、そうだな、イメージアップ戦略には
バラだな、可憐にして高貴なバラの花が咲き誇る様を見て気分を害すような
人類は有史以来存在しないはずだというマーケティングデーターに基づき、
根っこんとこにバラを、バラを描いて行き交う人々の心に安寧を与えよう
という決定がくだされる可能性だって充分に存在するわけです。

完成予想図なんて今から信じてはいかん。

新聞を疑え!海老茶色の海老具合を疑え!

<世相部門>

●育児をするお父さん イクメン

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育児休暇を取得し、子育てをする男子「イク(育)メン」
ジェンダーの見地から、ワークライフバランスの見地から手厚く歓迎
されている彼らの生態を切り取ったかかしである。
それにしてもイケメンかかしであることよ。
こんな夫であれかしといった婦人の願望の具象化であろうか
どのような方がどういった視点で企画し、作成したのかとても気になる作品である。


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ちょっとちゃらい。でも眼がきれいだったから、って茅ヶ崎でナンパ
されたギャルか俺は

<アート部門>

●考えさせられることが多いですネ ピカゾー

パブロ・ピカソ、もはや知らぬ人はいないであろう世紀の大芸術家である。

生涯におよそ13,500の油絵と素描、10,000点の版画。34,000点の挿絵、300点の彫刻、
陶器を制作、最も多作な芸術家としても名高いピカソであるが、4点のかかしが
そこに含まれているのはあまり知られていない。

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その4点

先祖代々の土地で稲作農家を営む農夫とその息子夫婦、そしてその息子。

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一般的な家族の肖像を素朴に表現した作品のように見えるが
この家族たちは何か尋常ではない。まず見て取れるのが、サザエさんや
ちびまるこちゃんに代表されるファミリードラマに欠かせない「おばあちゃん」
つまり農夫の妻の不在である。既に他界しているのか、離縁し当家を去ったもので
あるのか...

私はあえて後者の説を取りたい

戦後、田園広がるこの地の米農家に嫁ぎ、朴訥と仕事にいそしむ夫と
決して裕福とは言えないがそれなりに不自由しない生活を送ってきた。
しかし、そんな日常を追い越して周辺環境はめまぐるしい変化を遂げてゆく。相模線と
小田急線は力強く、しなやかに連結し交通のインフラが強化されると、隣接駅の海老名駅、川ひとつ隔てた本厚木駅周辺は開発が進みショッピングセンターや団地が春の息吹のように次々と建立され、林立していく。

一人息子も成人し、家に嫁を迎え、孫もできた。そんなある日、ふと都市化の狭間でそこだけ時の流れから取り残されたようにずっと変わらず存在している我が家の田んぼの真中で、進化的、先進的に変貌した周囲とただいたずらに年輪を刻んだ自らの姿との残酷なコントラストに気付き、立ちつくす。

名状しがたい漠然とした虚無感、喪失感が感情を支配する。失った本当の自分の人生を見つけたい、取り戻したい、今からでも遅くない、不肖の身をお許しください、チラシの裏に書き置きを残し、畦道の向こうに消えていった。

残された者からすれば奇行としか言いようがない彼女の行動にひたすら首をかしげ
あほのように虚空を見つめる面々。
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そんな中で一人、一番手前で陰鬱たる面持ちで俯き、沈思黙考している長男の妻。

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彼女にとってみれば義母の行動は単なる不条理で解釈される問題ではない。
同じ境遇に生きる稲作農家の嫁として受容どころか共感に近い感情が
沸き上がるのを抑えきれずにいるのだ。

牧歌的な家族の中で静かに、ゆっくりと進行する感情の乖離、結束、愛情の喪失。
「青の時代」と比類されるその陰鬱な精神の変容をキュビズムによって見事に切り出した
あまりにもピカソ的なかかしである、アートである、ここは田んぼである。


箸にも棒にもひっかからない妄念でやたら冗長になったが
かかしコレクション'10グランプリに輝いたのはこの作品です。

<中新田カカシコレクション'10グランプリ>

●元気がいちばん

人間として社会的、文明的な生活を送ってゆくのに一番大事なもの、
それはいうまでもなく「元気」である。
元気がいちばん。




元気がい...  いちば..

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....こわい...

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....虚無、なんていうか「0(ゼロ)」

森羅万象を吸い付くし、消失せしむるブラックホールのような漆黒の瞳と
上下が融合し、記号としてただそこにある深紅の唇。

この喜怒哀楽のどれにも属さないっていうかなんとなく地球外生命体に
隷属しているかのような面相を持った夫婦が内包している「元気」とは
一体なんなんであろうか?
小生のような凡人には到底理解しえぬ壮大なテーマである。




元気が一番

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単なる肯定的感情表現としての元気を超越した深遠なる元気を
彼らはみなぎらせている。その証拠に仁王だっている。その手には鎌も持っている。










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十万億土の彼方を見つめる瞳で何をロック・オンしてその鎌を振るうのか。
黒魔術的な、暗黒極まりない元気よ、永遠なれ。

先のピカソに比べて全然テキストが少ないのもそれだけ余人の解釈のつけいる
隙がない傑作という事であり、決して眠いとか飽きてきたとかではない。
グランプリおめでとうございます。




そんなこんなであやうく1年遅れになる危険をはらんでカカシコレクション'10を終了する
わけだが







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ここで紹介してきた極めて装飾的な、アニバーサリー要員としてのかかし
が皆からの注目と愛玩を享受するその裏で、まじで鳥類から大切な米を守り抜くという
実働に従事しているかかし達がいる事を忘れてはならない。

どこからともなく空中より飛来し、稲を強奪してゆく鳥類の心胆を寒からしめる為に
やさしい心と裏腹に刺激的な形相で泥土にたつ彼らもまた独特の美しさを持っている。
そんなワーキングかかしを紹介し、フォルムやヒロソヒーを愛でる回もいつかやりたいと思います。いつかね。

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