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2011年7月29日 (金)

デス街歩き

まあいろいろあったり今でもあるがなんだかんだ言って我が国は世界でも有数の先進国である事には違いない。識字率はほぼ100%という高い教育水準を誇り、通信ならびに上下水道等のインフラは東西南北を駆け巡りドクターヘリはそっこー離島へ向かう。タワーマンションもがんがん建ってるし。

私のようなおっさんが一眼レフカメラを肩からぶらさげ口を半開きにしながら挙動不審な
視線を周囲に振りまき街を小闊歩していてもおやじ狩りにあったり弾圧される事もない。
なんと治安の徹底した事であろうか。
中東付近の某国に赴任した教師の知人に聞いたらマンホールのフタは素材の鋳鉄が
売れるからって理由で設置する傍から盗まれるって言ってたぞ。

しかしそうして我々がごく表面的に享受している、皆が肩を抱き笑みを浮かべナンバーワンになんてならなくていいと慈愛の歌を歌っている平和かつ文明的な光景はこの社会のほんの一面に過ぎず、一皮めくれば欲望をむき出しに他者を陥れる為の権謀術数がはりめぐらされ、凡百の惨劇が引き起こされる阿鼻叫喚の世界。あるものは希代の悪計による謀殺を完了し、あるものはそれにより脳漿を撒き散らして非業の最後を遂げる、つまり死ぬ。

日夜間断なく引き起る事件の内、マスメディアや西村京太郎などにより拾い上げられ、社会の耳目に触れるものはもうほんとにごくごくわずか。大抵の惨劇は我々の知らぬ間にはじまって、知らぬ間に終わる。

しかしながら犠牲者たちもただただ暗黙のうちに葬りさられているわけではなく、
最後の力を振り絞り、自らをかような境遇に追い込んだ犯人を白日の元にさらし、天の
裁きを与えんと、その痕跡をこの世に残してゆくのである。

ミステリー小説なんかでよくあるあれ、ダイイングメッセージである。

 

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こういうの(わたし画)、おもに自らの血液を使って描かれるあれです。

そんな日常の風景に隠された非業の犠牲者のメッセージを少しでも多く
拾い上げ、微力ながらも事件解決への一助を添え、彼らの魂に安寧をもたらさんと
するものである。魂のリレーである。人間讃歌なんである...すいません。



■ダイイングメッセージ「売地」

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「ダイイングメッセージは、存在する。」
私に気づきと確信を与えた入魂の一作。
死期に及んでかすれ、乱れる筆跡、たれる血液、全体が醸し出すモイスチャー
な感じ、これはまさしくダイイングメッセージである。

看板の上部には犯人の者と思われる携帯電話の番号までもが記されている。
おそらく身内もしくは顔見知りの犯行であろう。
そしてまさに絶命の間際にふるえる指で書き記した「売地」

不動産取引に関する金銭トラブルが基だ、その人脈を当たれというメッセージ
だろうか。

っていうかほんとに「売地」っていう奴が犯人なんじゃと思って調べたが
そんな名字も名前も存在しなかった。ただ、「売場」という名字は実在するらしい、
すごいな、売場か。

ぶっちゃけぼかし入れなくても大丈夫だろこれというくらいに数字は
判読困難を極める。

さぞかし辛かった事だろう。さぞかし無念だった事だろう。

犯人はかならず、捕まえてみせる(嘘)!


■ダイイングメッセージ「点心」

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路地、民家の薄汚れた白壁に点心。これがてきとーに書かれた落書きであろう訳がない。
歌舞伎町で馳星周が「新宿鮫」を着想するに至ったような壮絶なチャイニーズマフィアの抗争による惨劇の傷跡だろうか。

暗黒街、後ろ手に括られ、うなだれてひざまずくチャン大人(たいじん)を見下ろしながら
微笑を浮かべたルーシー・リューが部下を一瞥して一声

「点心を嗅がせちまいな!」


ふっかふっか、ほっくほっくのあんまん、ぷるぷるの杏仁豆腐、オレンジの色鮮やかに
瑞々しい果実の芳香を放つ濃厚な味わいのマンゴープリン。

チャン大人の鼻先に次々と極上の点心の小皿達が運ばれ、並べられてゆく。
前述したようにチャン大人は四肢の自由を奪われているためそれを味わおう
としても到底適わない。

「猫の墓」一味に捕われて以来、一切れのパンすらも与えられずに殴る、蹴る、
親に電話するなどの暴行、拷問を受け疲弊、恥辱の極みにある目と鼻の先に
とても美味しそうな、パステルカラーで見た目にも楽しい点心の香りを嗅がす、
嗅がすだけ。そしてその後スタッフが目の前でおいしくいただくのだ。
地獄ですら児戯に思える程の壮烈な仕打ち、人が人に、ここまで残忍非道になれるもの
なのだろうか。

かくしてチャン大人は遂に発狂、壮絶な最後を遂げる。
薄れゆく意識の中、組織の悪事を告発し、公権力ならびに一族郎党によりいつの日か、
必ずやこの怨恨をはらすべしと震える手で記した執念のダイイングメッセージ、それが
「点心」

暗黒街の血の掟はここに発令された。街中を巻き込んだ血で血を洗う抗争の火蓋は
ここに切って落とされた。我々にできる事はただ祈るのみである。



■ダイイングメッセージ「のどか」

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この状況のなにがどうのどかだというのか。

■ダイイングメッセージ「エモーション」

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どす黒い赤、かすむ筆致、不可思議なバランス、そして探偵味に溢れた
メッセージ。ダイイングメッセージのダイイングメッセージたる要素がふんだんに
盛り込まれている。なんといっても「モ」が小さい。これだけとっても
尋常ならざる事象がこの街で、ここで起こっている事の証左に他ならない
ではないか。片平なぎさと船越栄一郎が崖を目指す価値が十分に
あろうというものだ。




異なる場所において、同一犯の犯行、また、事件の関連性を臭わすような
ダイイングメッセージも存在する。

■ダイイングメッセージ「駐車禁止」

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かと思えば

血のりが横方向へ、まさにダイイングイリュージョン、
シンクロナイズドダイイングメッセージとも言うべきアクロバティックな
ルージュの遺言も街にはまぎれている。

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それにしてもベコベコだなしかし。






電車やバス、汽船などの交通機関で妊婦さんが目前に立ったら
席を譲ってあげるのは当然のモラールであるのは異論のない事であろう。

そして妊婦さんがそのお腹を優しく抱えつつ、生まれてくる我が子に
語りかけるようににこりと微笑む様は汚れなき慈愛、博愛のシンボルであり、
平たく言うと暖かいよねえ、いい光景だよねえ、僕らは善良だねえ歌おうか。

という感じも我々のような善良な人間の中では共通認識といっていいだろう。

もちろんそれを否定するつもりは毛頭ないし大概においてその通りだと思うのだが
妊婦と言えば総じてそういうもんだといってしまうのは俗情との結託というもの。
森羅万象にはコインの表裏のようにダークサイドが存在し、我々が認識しているのは
大抵その限られた一面に過ぎない。慈愛のシンボルたる妊婦に関してもそれは
例外でない。






■ダイイングメッセージ「マタニティ」
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なんというダイイング
題材が題材だけにダークネス値は一気に臨界点。
マタニティが、事件の重要な何か、有力な容疑者である事は明白である。

妊婦が全て慈愛に満ちた存在とは限らない、いや、結局自分以外の誰かを憎悪し、
または現世利益追求の為に社会的倫理を逸脱した人間がたまたま妊婦だった
だけの事、それが社会の暗部、人間の業というものである。
よく火サス的なので放映している、お前もういいから警察に任せて仕事しろよ仕事と言いたくなるOL三人湯けむり旅行殺人事件みたいなシリーズだっていつの日か、犯人は
湯けむりOLだった!みたいな顛末を迎えないとは限らない、いやもうそういうのがある、そうでなくてもクランクアップぐらいはしているかもしれないのだ。

何を言っているかわからなくなってきたがこのダイイングメッセージは息を飲むすごさなんですよそうじゃないですかというテンションは伝わったのではないかと思う。



今回はこんな感じでまた隙を見て続編をアップしていく所存である。

さあ、街へ出よう、そして眼をこらそう。
うららかな街並の情景の一角で、ミスったぽいサインや看板の姿を借りて怨念に
震え、血潮のたれるままに残された十万億土からのメッセージが今も貴方を待っていると
思いますよ。たぶん。







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