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2011年5月 6日 (金)

カカシコレクション'10 その3

<ランドマーク部門>
●スカイツリー
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独創的かつエレガント。

このかかしがスカイツリーに似てるのか?といわれれば
私の答えは「わからない」だ。

ちなみにスカイツリーはこれね。結構前に撮ったやつですが。

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確かに現時点では必ずしも似ているとは言えないかもしれない。

だがしかし、スカイツリーはこれをのたのた書いている現在、まだ
「建設中」すなはち「未定」の状態であって、これから先の段階において
白×青のトラスがかったデザインは仮想敵国の衛星写真に写りやすいから
真っ白の、平滑な、ステルスっぽいなんか神がかったイメージにしろと
いったふうに同盟国から忠告があり、更にすんごく高い塔から人民を
洗脳せしめる電波を24時間絶えず発信しつづけるというネガティブな
イメージを緩和、隠蔽する事を主目的とし、そうだな、イメージアップ戦略には
バラだな、可憐にして高貴なバラの花が咲き誇る様を見て気分を害すような
人類は有史以来存在しないはずだというマーケティングデーターに基づき、
根っこんとこにバラを、バラを描いて行き交う人々の心に安寧を与えよう
という決定がくだされる可能性だって充分に存在するわけです。

完成予想図なんて今から信じてはいかん。

新聞を疑え!海老茶色の海老具合を疑え!

<世相部門>

●育児をするお父さん イクメン

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育児休暇を取得し、子育てをする男子「イク(育)メン」
ジェンダーの見地から、ワークライフバランスの見地から手厚く歓迎
されている彼らの生態を切り取ったかかしである。
それにしてもイケメンかかしであることよ。
こんな夫であれかしといった婦人の願望の具象化であろうか
どのような方がどういった視点で企画し、作成したのかとても気になる作品である。


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ちょっとちゃらい。でも眼がきれいだったから、って茅ヶ崎でナンパ
されたギャルか俺は

<アート部門>

●考えさせられることが多いですネ ピカゾー

パブロ・ピカソ、もはや知らぬ人はいないであろう世紀の大芸術家である。

生涯におよそ13,500の油絵と素描、10,000点の版画。34,000点の挿絵、300点の彫刻、
陶器を制作、最も多作な芸術家としても名高いピカソであるが、4点のかかしが
そこに含まれているのはあまり知られていない。

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その4点

先祖代々の土地で稲作農家を営む農夫とその息子夫婦、そしてその息子。

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一般的な家族の肖像を素朴に表現した作品のように見えるが
この家族たちは何か尋常ではない。まず見て取れるのが、サザエさんや
ちびまるこちゃんに代表されるファミリードラマに欠かせない「おばあちゃん」
つまり農夫の妻の不在である。既に他界しているのか、離縁し当家を去ったもので
あるのか...

私はあえて後者の説を取りたい

戦後、田園広がるこの地の米農家に嫁ぎ、朴訥と仕事にいそしむ夫と
決して裕福とは言えないがそれなりに不自由しない生活を送ってきた。
しかし、そんな日常を追い越して周辺環境はめまぐるしい変化を遂げてゆく。相模線と
小田急線は力強く、しなやかに連結し交通のインフラが強化されると、隣接駅の海老名駅、川ひとつ隔てた本厚木駅周辺は開発が進みショッピングセンターや団地が春の息吹のように次々と建立され、林立していく。

一人息子も成人し、家に嫁を迎え、孫もできた。そんなある日、ふと都市化の狭間でそこだけ時の流れから取り残されたようにずっと変わらず存在している我が家の田んぼの真中で、進化的、先進的に変貌した周囲とただいたずらに年輪を刻んだ自らの姿との残酷なコントラストに気付き、立ちつくす。

名状しがたい漠然とした虚無感、喪失感が感情を支配する。失った本当の自分の人生を見つけたい、取り戻したい、今からでも遅くない、不肖の身をお許しください、チラシの裏に書き置きを残し、畦道の向こうに消えていった。

残された者からすれば奇行としか言いようがない彼女の行動にひたすら首をかしげ
あほのように虚空を見つめる面々。
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そんな中で一人、一番手前で陰鬱たる面持ちで俯き、沈思黙考している長男の妻。

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彼女にとってみれば義母の行動は単なる不条理で解釈される問題ではない。
同じ境遇に生きる稲作農家の嫁として受容どころか共感に近い感情が
沸き上がるのを抑えきれずにいるのだ。

牧歌的な家族の中で静かに、ゆっくりと進行する感情の乖離、結束、愛情の喪失。
「青の時代」と比類されるその陰鬱な精神の変容をキュビズムによって見事に切り出した
あまりにもピカソ的なかかしである、アートである、ここは田んぼである。


箸にも棒にもひっかからない妄念でやたら冗長になったが
かかしコレクション'10グランプリに輝いたのはこの作品です。

<中新田カカシコレクション'10グランプリ>

●元気がいちばん

人間として社会的、文明的な生活を送ってゆくのに一番大事なもの、
それはいうまでもなく「元気」である。
元気がいちばん。




元気がい...  いちば..

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....こわい...

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....虚無、なんていうか「0(ゼロ)」

森羅万象を吸い付くし、消失せしむるブラックホールのような漆黒の瞳と
上下が融合し、記号としてただそこにある深紅の唇。

この喜怒哀楽のどれにも属さないっていうかなんとなく地球外生命体に
隷属しているかのような面相を持った夫婦が内包している「元気」とは
一体なんなんであろうか?
小生のような凡人には到底理解しえぬ壮大なテーマである。




元気が一番

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単なる肯定的感情表現としての元気を超越した深遠なる元気を
彼らはみなぎらせている。その証拠に仁王だっている。その手には鎌も持っている。










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十万億土の彼方を見つめる瞳で何をロック・オンしてその鎌を振るうのか。
黒魔術的な、暗黒極まりない元気よ、永遠なれ。

先のピカソに比べて全然テキストが少ないのもそれだけ余人の解釈のつけいる
隙がない傑作という事であり、決して眠いとか飽きてきたとかではない。
グランプリおめでとうございます。




そんなこんなであやうく1年遅れになる危険をはらんでカカシコレクション'10を終了する
わけだが







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ここで紹介してきた極めて装飾的な、アニバーサリー要員としてのかかし
が皆からの注目と愛玩を享受するその裏で、まじで鳥類から大切な米を守り抜くという
実働に従事しているかかし達がいる事を忘れてはならない。

どこからともなく空中より飛来し、稲を強奪してゆく鳥類の心胆を寒からしめる為に
やさしい心と裏腹に刺激的な形相で泥土にたつ彼らもまた独特の美しさを持っている。
そんなワーキングかかしを紹介し、フォルムやヒロソヒーを愛でる回もいつかやりたいと思います。いつかね。

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