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2010年10月 7日 (木)

削る案配

奥歯を損壊し、約15年ぶりに歯医者に通院している。
こんだけ時を経るとやはりテクノロジーの進化というものを切に実感するわけで、
麻酔なんかもう壊死したんじゃないかっていうくらいがんがん効くし
治療の際に伴う痛みだとかが昔に比べて随分緩和されたなあ。
素晴らしい事だ、医療技術万歳とか思うわけです。

それだけ目に見えて歯科医療の進歩を実感するにも関わらず
なぜか昔と寸分の違いもなく脳神経に突き刺さるように響き渡るあの
「削るやつ」の「キュィーン」。

あのキュイーンの破壊力、不快感だけはむしろ風情としてあえて伝承してるんじゃないかと
思う程にそのまんまだった。恐ろしい事です。

私を担当する歯科医はわりと若く、きびきびとした動きと快活な受け答えで
歯の治療を進行する。患者への気遣いも細かく、とても好感が持てていい感じ
なのだけれど
その勢いをそのままそこに伝えたかのような鋭い「キュイーン」だけはどうにも
いただけない。

その日もいつものように拘束椅子にくくりつけられた私の口腔、そして脳神経を
むしりえぐるかのように無機質で金属的なキュイーンが鳴り響いた。

と、その時、その「キュイーン」に呼応するかのように、モーター音ではあるがもっと
やさしい、暖かみのある、「シュウイーン」という音が、先の「キュイーン」をおいかけ、
包み込み、その場の緊張感に一抹の安らぎ、そして調和を与えたのでした。

「シュウイーン」の方を見ると、隣の席でここの歯科医の院長であろうか、
ペパーミントグリーンの医療帽からロマンスグレーのもみあげを除かせた
眼光やさしき初老の紳士が患者の口腔内の治療に取りかかっており、
その手に握られた「削るやつ」から「シュウイーン」は発せられたのであった。

職人の魂は道具に宿る。

二人の使う「削るやつ」は明らかに同様の機能のものであるのに
そこから発せられるキュイーンはまったく異質の物であり
若手医師のいかにも「削る」といった感じのストレートで攻撃的なキュイーンに比べ
初老医師のは扱う彼自身が道具はおろか、そこに漂う空気と一体化したかのような優しい、撫でるような、そして老練さ、渋みを内包した、いい意味で枯れた「シュウイーン」。

物理的に歯を削り、効率よく治療を進行させようとする若手医者のキュイーンに対し、
共鳴し、そして導くように初老の医師は「シュウイーン」を鳴らす。

そこに会話はない。しかし言葉よりも雄弁に、「シュウイーン」は「キュイーン」を導く。

「キュイーーン」

「シュウイーン」(削ろうとするな)

「キュイーーン」

「シュウイ、シュウイーーーーン」(考えるのではなく、感じるのだ)



「シュウイーーーーーーン」

(わが、削るやつは、大地とひとつ)


若手医者の表情は治療開始時のそれよりも柔和となり
いくぶんシュウイーンに近づいた削るやつを名残惜しそうにホルスターにおさめると
私にゆすぎを促し、席を立った。振り向かずに歩いてゆくその後ろ姿を初老の「シュウィーン医師は一瞥すると、何もなかったように自分の患者のカウンセリングを始めた。

こうして歯医者の道具「けずるやつ」に生命を伝える儀式は日々の治療の姿を借りた
様式の中で師と弟子の魂と肉体の対話によって取り行われてゆく。彼の治療が真の意味で訪れる患者を癒し、憩いを与えるようになる日が来るのもそう遠くはないだろう。




みたいな感じでゆっくりでもいいから、「キュイーン」ってなんとかなっていかないだろうか
と妄念を抱きながらまだ歯医者通いの日々は続くんです。

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コメント


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