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2010年6月23日 (水)

マウンテン登頂記 その2

甘口キウイスパ」と。。

極度の緊張という精神状態は往々にして
人の判断力を鈍らせるもので、

前述したように理解の範囲を超越した盛りと風味のスパを
登頂せにゃならんのだから

こう、なんつーんですか、チェイサーっていうんですか?
このアクを中和せしむるにはグイッとコーヒーの力を
借りた方が良いのではないかと考えたんである。
そもそもここカフェーだし。

で、注文
「甘口キウイスパと」。。

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ウィンナーコーヒー。。

 

なんともクリーミー、かつスゥイーティー。
チェイサーどころかもはやエフェクター。
しかも名古屋のカフェの慣習として、俗情として、コーヒーを
注文するとサービス精神旺盛なサイドメニューが提供されるらしく
ビスケッツとシフォンケーキまで揃いぶみ。

ここに「甘口」キウイスパなんて並んだ日には
一瞥しただけで血糖値は正常な成人男性のそれを軽く2~3倍は上回るで
あろう 眺望となる事はもはや火を見るよりあきらか也。
ラグジュアリーな程に致命的なミステイク。

「やんぬる哉」

まだ始まってもいないのに、はやくも絶望の辞が口をつく。
そして 自らの手によって上げられたハードルの高さを想像する間も
なく「それ」 はやって来た。

ずばん。

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甘口キウイスパ

でかッ!!

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言葉を失う迫力。

頂上に向かう傾斜は比較的なだらかではあるものの
登り口部分にそびえる5つの雪山はこの部屋の熱気と麺の熱さでいつ雪崩を
起こしてもおかしくない状況。
さらに大量の油でぬらんぬらんしているキウイ練り込み(!)の太麺は
いかなるルートを設定しようとも登山者の喉にまとわり付き、喉を通過したとしても
大量の油っけで胸を焼き焦がすに違いない。

極め付けは頂上付近に鎮座ましましているパイナップルのアイス・バーン
生クリームとパイナップルと、ぎとぎとキウイ練り込み麺とサクランボの取り合わせ。
不協和音にも程がある。

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幾多の冒険者達の行く手を遮り。ロマンを打ち砕いて来た大秘境の全貌が
ここに姿を現したのであります。

何分、いや何秒間であったろうか、そのあまりの難所っぷりにアホみたいに口を開けて
ボーとしていたが、俺は何しに名古屋くんだりにやって来たのだ、歴史に名を刻む為じゃあ
なかったのか(えーと念の為、仕事できてます)のぼり始めてもいないのに怖じ気づいてどーする。

男が命を賭するに値する場所。
それが喫茶マウンテン
それが「甘口キウイパスタ」

いざ、行かん。

てな感じでしゃにむにダークグリーンの光沢麺にかぶりついたのであった。

。。。。

。。まずい。

そして。。。ぬるい

キウイ麺(キウイ味全然しません)の放出する地熱により早くもクリームおよびキウイ果汁は 「激ヌル」状態となっており、雪山は早くも半壊状態。 
雪崩となって とろとろと斜面を流れ落ち始め、油と変に絡まり出す。

そんなカオス状態になったスパを口に入れる度に
じんわりと広がる生あたたか〜いクリームの甘みにキウイの酸味がみずっぽく
ジュンと重なる。で、油のこってり感が口内の粘膜を襲う。

瞬く間に肌は紅潮、体温が急激に上昇し、全身から汗が吹き出す。
血糖値が確実にどうにかなっている。ヘモグロビンが悲鳴を上げている。
このまま新陳代謝が極度に活発化し、酸欠状態になれば、頭痛、吐き気、めまい等、
高山病の諸症状を誘発する危険大。

たまらずウィンナーコーヒーを口に含み、それチェイサー。

あまっ!

それでも油のうっとおしさは少なくとも中和。
でもこれと戦うには最低でも黒烏龍茶くらいは欲しいところ。

そして更に萎えさせるのがこの常軌を逸したボリューム。
進んでも進んでもゴールが見えない。
雪中行軍、サルガッソー。いかようにも例えがたい先の見えなさといったら。もう。

 

たまらずビバーク
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ビバークのお友はカート・ヴォネガット。
全然内容が頭入りませんが。

再び登頂を開始し、いつ果てるとも知れぬクリームぎとぎとパスタにいやけが差し、
こちらも雪崩によってクリームまみれになったパイナップルのアイスバーンを
先に攻める。

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これまた難所。
なまあたたか~いパインの甘酸っぱさに生クリームのぬたぬたした甘さ
が襲いかかってくる。カロリーの大洪水は着実に体力を奪い取ってゆく。

小学生の時に水道の塩ビ管を除きこんだら中にいたヘビに襲われた。

サッカーチーム。炎天下の中での猛練習。喉がからからで死にそうになった時に父兄から
差し入れられたのはメロンパンだった。

幼き頃の想い出がだんだん蘇ってきた。走馬灯の始まりである。
かのジョージ・マロリーもヒマラヤのセカンド・ステップで死に彩られたこの幻影を
体験したのだろうか?

パイン攻略を半分で挫折し、走馬灯が遂に高校時代まで進行しながらも
牛歩状態でパスタを攻略。
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もさり

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もっさり

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四肢が麻痺してもう味わかりません。

なんやかんやで
残すはセカンド・ステップのパイン半分と頂上にそびえるチェリーのみ。
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さあ、ゆくぞ!

ビバークしてから。

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ビバークのお友はカート・ヴォネガット
もはや表紙を眺めてるだけ。

いよいよの覚悟を持って山頂へ。
ピッケルを突き立てるようにフォークでパインを貫き、
持てる力を振り絞って口に押し込む。

登頂開始よりおよそ1時間、ついにパインのハードバレーを攻略した
小生は倒れ込むように最後のチェリーをほうばる。

ああ、いろいろあったけどチェリーだけは馬鹿馬鹿しいくらいに純粋にチェリーだ。
うまい。甘酸っぱい。疲労困憊の四肢に染み渡る。

登頂の記念に星条旗とかはないので種と柄?を中央に配置。

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単独登頂成功。

地上の最高峰、孤独と死の幻影に耐え、到達したものにだけが味わえる光景
、充足感。何ごとにも例え様の無い、死にたくなる程の神々しさ。
エベレストから下山途中に滑落死を遂げた、伝説の登山家、ジョージ・マロリー
の気持ちが良くわかる。彼は魂となって、そこから、もっと高い所にその視座を
求めたに違いない。

いやー、一介のサラリーマンなのにマロリーだよ。達成感ばりばりだよ。
でもこちとら「ごっこ」なので神様になる訳にもいかず、
あと席をまってるお客様の為にもとっとと下山しようそうしよう。

とお伝票に手を伸ばすとそこにすっかり忘れていた「あれ」が鎮座ましましていた。
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シフォンケーキ

目をつぶり、なかった事にして店を出ましたがまあ、登頂コンプリート
でいいと思います。

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